【ネタバレ注意】左右「ネイキッド」MV及び「よしるマシン」第2話とは?

 バンド「左右」の楽曲「ネイキッド」のMVが公開されました!

 

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 こちらが概要コメントです。

この作品は、左右の楽曲「ネイキッド」MV(アニメバージョン)であり、同時にオリジナルアニメーション「よしるマシン」第2話でもある、というちょっと変わったものになっています。「ネイキッド」MV(実写バージョン)、「よしるマシン」第1話と併せてお楽しみ頂ければと思います。

 

「ネイキッド」MV(実写バージョン)

https://www.youtube.com/watch?v=EYeayc85UAk

 

「よしるマシン」第1話

https://www.youtube.com/watch?v=IWeZyTpLqio

 

「よしるマシン」は、架空の世界「山田川」を舞台にした物語として構想し、現在、少しずつ制作中のアニメーションです。本作品では山田川の原始時代の日常生活が淡々と綴られています。

左右の「ネイキッド(裸!)」のあらゆる無駄が削ぎ落とされた、でも同時に全てが内包された(と感じずにいられない!)楽曲は、山田川原始時代の構想に多大なるインスピレーションを与えてくれました。ベースとドラムを同時演奏することにより生まれる独特のグルーヴは「謎の回転運動」となり山田川原始世界の基本動力、物語推進力を与えてくれました。

そしてハイトーンボイスによる「N・A・K・E・D!」というシャウトはなぜか「だるまさんがころんだ!」と脳内変換され、それによりキャラクターの性格設定が決定されました。

左右のイメージカラーである「黄色」も赤と青の世界の中でとてつもなく重要な役割を果たしました。「黄色」は赤と青の中間、動と静の中間で我々を「思考」させます。「黄色」こそこの作品の謎を解く鍵。それはクライマックスで明らかになるでしょう。

 

こうしてパズルのピースが全てカチッと頭の中で音を立ててかみ合い、その瞬間「THIS IS YAMADAGAWA」とでもいうべき風景が脳内に広がり、作品のゴール地点が一気に見えました。それが大体、5月くらいだったでしょうか。・・・・・。そこからだいぶお待たせしてしまい、、、、、ようやく完成したのが左右横浜単独ライブ前日の9月22日でした。本当にお待たせいたしました!なんか色々とカッコつけたこと書いちゃって、本当に申し訳ありませんでした!

 

よシまるシン

 

 上の文章にもある通り、MV公開の前日に左右の横浜単独ライブがあり、そこで行われた「MV鑑賞会」というコーナーで、過去のMVを振り返りつつぼくも登壇し、今作を初出し上映して、そのあと左右のお二人とトークしました。

 ここから先、そこで話した内容と、そこでも話せなかったMV裏話を書かせて頂こうと思います。ご興味のある方は、そのまま読み進めて頂ければと思います。

 

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 左右のお二人からアニメーションMVのお話を頂いた時に、こちらから例に挙げたのがこの動画でした。こちらはSUN RAのMV、ではなく、映画「ダンボ」のワンシーンで、それとそのシーンで使われた曲をSUN RAがカバーしたもの、をくっつけた動画(だと思うん)です。「こんな感じで、長編のワンシーンでもありつつMVでもある、というものにしたいのですが」という提案に、左右のお二人は(もともとこのアニメーションが大好きだったそうです!そりゃそうですよね。しかしいつ観てもやばいですね)快くOKしてくださいました。かくしてこのMVは、ぼくが作り続けようとしているオリジナルアニメ「よしるマシン」のワンシーンでもある、というものになることになりました。

 とはいえ、ただ二つをくっつけるだけでなく、もっと両者が連動した、混ざり合ったものにした方がより面白いのではないかとぼくは思っていました。どちらが主でも従でもなく、どちらにとってもこのコラボがプラスに作用する、そんな相互補完的なものにしたいと思いました。そしてそれは意図せずとも自然と起こり、勝手に楽曲からのインスパイアが「よしるマシン」の世界に入りまくりました。それは上の概要コメントにもある通りです。

 

 制作は、その他の仕事(主に「謎の図」を作る仕事)があり、並行して進めながらも、何度か中断することもありました。その際も、常にこのMVのことが頭の中にありました。そんな中、こちらのMVが発表されました。

 

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 何ていうんですかね、「ダンボ」のアニメもそうなんですが、もちろん全然違うんですが、もちろん全く全然違うのは百も承知なのですが、でも「あ、けっこう同じことやってる」って思ってしまったんですよね。。。。すみません!

 

 重層的な意味性と生身の身体表現で「原始と現実のデフォルメ」をやっている。緩和→緊張、という笑いの手法を逆にした構造でショックを高めている(逆だったら完全にコメディ)。そしてそこからある「問題」が浮かび上がってくる。

 

 これら、まさに、一緒なんですよ。いや、もちろん違うんですけど(あとなんとなくこのへんからネタバレっぽくなってくるのでご注意ください・・・・)。

 

 アニメーション「よしるマシン」の舞台は「山田川」という架空世界です。そういう設定なんです。その世界は、全くの別世界というよりは、この現実世界を換骨奪胎、変形変換した世界なんです。MVにも描かれている通り、例えばあそこに登場する赤と青の山田川原始人たちは、桃みたいな生き物として転がってきて、急にパカッと出てきて、自らその桃を食べて栄養にします。そして排泄しようとすると、また桃の生き物に戻り、、、ひたすらそれを繰り返します。完全なる自給自足生命体。そこには現実世界の人間だったり桃太郎だったり桃そのものだったり鬼だったりが、変換されミックスされています。こんな風に、山田川世界は、現実世界の様々な事象から色々とインスパイアを受けて構想されます。左右の楽曲から多大なるインスパイアを受けたのと同じように。そしてそれは、変形変換されてアウトプットされます。

 

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 「This Is America」でチャイルディッシュ・ガンビーノはアメリカの銃社会、差別社会を「問題」にしています。(大小はあれど)その種の「問題」は、私たちの身の回りにもたくさんあると思いますし、そういった「問題」を突きつける表現が求めらてもいると思います。ぼくも求めています。ただ、山田川世界ではそれら現実社会の「問題」もやはり変形変換され、ずらされています。

 山田川原始人は自給自足生命体なので、自分で自分を産むことができます。だから生殖の必要がありません。だから性別がありません。身体の色の違いも性別や人種を表していませんし、入れ替え可能です(その入れ替えの仕組みについては、最後に)。場面中央にいる「黄色いやつ」。公衆トイレのようにも、ちょっと映画「インターステラー」のTARSのようにも見えるあいつ。あそこにトイレのマーク、ピクトグラムみたいなのがついてますよね。

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 あれ、別に性別を表してないんですよ。あれが表してるのは「下に落ちますよ」ってことなんですw 逆もまた然り、「上に飛びますよ」です。ちなみに終盤、この場面が回転して横になります。それによって「上下」が「左右(!)」になります。現実世界で「上下」がもたらす「上下関係」「格差問題」といったものは回転し無化されます。落ちたり飛んだりする際、地面が割れて地盤崩壊し(たかのように見え)ますが、それもすぐに元に戻ります。それは「災害問題」ではありません。MVの中で2回、字幕が出てきますが、そこに書かれているのは「ありふれた日常」「何もない毎日」です。

 

 では、山田川世界に「問題」はないのか!?あるとしたら何なのか!?それは実は、第1話にすでに描かれています(第1話を観ていない方、すみません!)。

 

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 これです!山田川における「問題」とは、これなのです。「よしるマシン」ではこれからもこの「問題」が追求され続けます!!これが「THIS IS YAMADAGAWA」です。

 

 最後に。

 左右の世界、現実世界 、そして山田川世界、この三竦みがじゃんけんのように循環し、ミクロとマクロが入れ子状になった構造。どれが主でも従でもなく、どれをとってもこのコラボがプラスに作用する、WIN・WIN・WINになる、そんな相互補完的なものに。このMVを作りながら、裏テーマとしてぼくはそんなことを考えていました。クライマックに登場する左右サイコロは、単独公演少し前に発表された、左右の特典グッズです。

  実はこのサイコロが、山田川世界の全てを司っています。サイコロ次第で赤は青になり、青は赤になり、胸が出たり出なかったり、上に飛んだり下に落ちたり。尻もちをついた(ある意味欠陥品の)赤と青のキャラはベルトコンベアから外れ黄色になり、天に昇り地に堕ち、最終的にはサイコロを振る側に回ります。これが(第2話における)山田川の死生観であり、ぼくが今作で目指した三竦み円環構造です。

 そんな架空の、虚構の世界観、フィクションの世界観が、現実世界に何を及ぼすかはわかりません(それは「フィクションとは何か?」というここでは書ききれない巨大なテーマです)。そもそもここまで書いてきたことは蛇足以外の何物でもなく、ただ「いい曲!」「左右ってSpotifyで聴けるんだ!」と思ってもらえることがこのMVの目的です。それこそがもしかしたら現実世界に何かをもたらすのかもと思います。このMVの最後、あの黄色いやつが、そして山田川世界の全てが、何に変身変換され、どうなるのか、観た方はお分かりかと思います。ぼく自身とこのテキストも、同じように終わっていこうと思います。

 以上、長文失礼いたしました!

 あと、ほんとはこんなのネタバレに入らないくらいまだまだ山田川には謎が残されているので、今後にも期待して頂けたらと思います!

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